若者の心を起動する教育の作り方

アスバシ教育基金代表、毛受芳高のブログ

これまで1998年から15年、キャリア教育、街とつながる学校、総合的な学習の時間、教育コーディネーター、シチズンシップ教育、ESD、環境教育、国際理解教育、サイエンスコミュニケーション、教育CSRなどなど、様々な新たなテーマの教育を「教育コーディネーター」の側から手がけてきました。小学校から、中学校、高校、大学までの、子ども・若者のすべての発達段階と関わっていくなかで、見えてきた教育づくりのコツを紹介します。
若者は、「何か」に出会う体験を通して、心に火がつき、自ら主体的に動きだします。そんな体験を「心起動(ココロノキドウ)体験」(ユースアクティベーション)と呼んでいます。「心起動」現象はどう起こるのか?

一人の若者がフリーター・ニートになると社会はどれだけ損をするか?

いよいよ4月から消費税増税がはじまります。3%の増税で8兆円の税収が上がると謳っています。
 
しかし、次の数字をみてください。
今年度の生活保護費は約3兆7000億円で受給者は約209万人(152万世帯)
平成25年度には5兆2000億円へ増加。
総合研究開発機構(NIRA)によれば、「就職氷河期」に急増した非正規雇用の労働者が現在の低水準の賃金で、65歳以上を迎えた場合、77万4千人が生活保護受給者となり、そのための追加的な財政支出が20兆円にのぼる、と試算しています。
 
つまり、8兆円が増収になっても、そのお金は生活保護費に消えて言ってしまう恐れがあるということなのです。
もし若者達が、『もらえるもんは、もらっちゃおう』ぐらいの感覚で生活保護をとらえ、社会のシステムを誰が支えているかは無関心になってしまえば、どんな立派な社会保障制度をつくってもすべて崩壊してしまいます。
 
●一人の若者がフリーターになってしまった場合の社会的損失はどれぐらいか?
もし、一人の若者がフリーターになってしまったとき、税収(所得税・住民税・消費税他)という観点では、社会はどれだけの損失をしてしまうのでしょうか。

<社会人とフリーターの年間の納税金額の差(所得税・住民税・消費税他)>
ニート

年収360万円の社会人の納税金額  
=33万円
年収107万円のフリーターの納税金額
= 7万円
-----------
納税金額の差は 年間26万円

これがもし、大学卒業してから40年この差が続いたとすると・・・
26万円×40年=1040万円





実際は、年収格差はもっと開きますし、ニートはフリーターの納税額よりも少ないと考えられるので、ニートフリーターの平均でいけば、この損失額はもっと大きくなると考えます。つまり、ひとりの若者をフリーター・ニートにしてしまった場合、その社会は、将来にわたって最低1千万円の損失をするのです。


これに加えて、生活保護が40歳を超えてから30年間、支出したとします。

月10万円×12ヶ月×30年=3600万円。
合計4600万円

つまり、ひとりの若者がフリーター・ニートにしてしまうことは、合計で5000万円近くの損をしてしまうことになるのです。
もし、こうなってしまう前に、ひとりあたり50万円をかけてでも、止められたとしたら、 その50万円は100倍の投資効果を生んだと考えられます。これが、ひとつの教育投資としてのひとつの考え方なのです。

裕福な国の、貧困な教育のニッポン

そもそも教育とは国家的な事業で、もともと教育には大変な額の税金が投入されています。

<一年間に使う児童・生徒一人当たりの公的税負担>(平成20年度全国平均)
小学校  827,000円
中学校  957,000円
高等学校 918,000円

学校という施設をつくり・修繕する費用や、電気代や水道代、そして、最も大きいコストは先生たちの人件費。もし、税金投入がないとすれば、これだけの費用、月にすれば7~8万円は払わないといけないのです。

もし、そんなことになってしまったら、誰もが学校に行けなくなりますよね。
学校に行けない子どもたちは、生まれた地域・家庭におかれた教育力のみに依存し、未来への可能性を奪われてしまいます。だからこそ、日本は明治維新以後、国費を優先的に投入し、急速に学校制度を全国津々浦々に普及させていきました。それが、日本の今をつくってきたわけです。

たくさんの税金を投入すると言いましたが、世界の平均からいえば、実は日本はOECD諸国のなかで、教育にお金を使っていない、最も安上がりに済ませている国なのです。
20120524_1146430
 

対GDP比で3.3%しか、日本はお金をつかっていません。


日本は、GDP世界第三位の国ですが、教育費に使っている割合は世界最貧レベルなのです。

このことは教育を、私費負担に委ねる、つまり、教育にお金をかけるかどうかは家庭の経済事情に委ねるということになります。

(続く)

挑戦する若者を育てるには?

もし、あなたが子どもに「バク転」に挑戦させようとすれば、はじめからコンクリートの床の上で練習させるでしょうか。するわけがありません。

失敗しても、大きくケガしないクッションのある環境から初めて、だんだんうまくなって自信がついてから、アスファルトの上でもバク転ができる。


つまり、人が「挑戦」するためには、挑戦に慣れる「ホーム」といえるセーフティゾーンが必要です。
元気づけ、不安や痛みを解消できるクッション効果があるホーム、その挑戦が失敗しても戻ってこられるセーフティゾーンがあってこそ、人は挑戦する勇気を蓄えることができる。


それ加えて、様々なものとの出会いや外の世界からの誘いがけなどの「外界からの触発」。誘因や刺激があってこそ、人は挑戦するテーマを手に入れ、向かうことができる。

私たちは、若者達を挑戦者へと育てるための「ホーム」「外界からの触発」を十分提供できているのだろうか?

できていないのであるならば、「今の若者達はチャレンジしないんだよね~」なんていう批判はお門違い。

もし、自分の地域や会社に挑戦者が育たないということがあれば、この2つの要素をふんだんに子どもたちが育つ環境に埋め込めるか、である。

そして、様々な挑戦で痛い目に遭いながらも乗り越え、成長してきた若者は、いくらコンクリートのような厳しい場所でも、バク転に挑戦し、みごと成功させてくれるのです。

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